アウグスティヌス(Augustinus):照明説

ギリシア教父の代表が(ニュッサの)グレゴリウスであれば、ラテン教父の代表は、ローマ領北アフリカ(現アルジェリア)・タガステ生まれのアウグスティヌスである。

アウグスティヌス(354〜430)は、数多くの著作を著した。
代表的なものには、初期では、『アカデメイア派駁論』『幸福な生活』『秩序論』『ソリロキア(独語録)』『魂の不滅論』『自由意志論』『真の宗教』などがあり、後期では、『告白』『三位一体論』『神の国』『恩寵と自由意志について』などがある。

アウグスティヌスが31歳のときに著したとされる『ソリロキア』は、アウグスティヌス自身と理性が対話する内容だが、そのなかでアウグスティヌスは、“おまえが知りたいものは何か?”と理性に尋ねられ、“神と魂だけだ”と答えている。
つまり、アウグスティヌスの哲学は、神と魂の関連をどのように考えるかをめぐって展開されているのである。

アウグスティヌスは、神と魂の関連について考えるにあたって、人間の認識を出発点とした。
アウグスティヌスによれば、意識は何かについて疑うことがあるが、疑うという意識の営み自体は、自己においてありありとした実感を伴うため、自己自身が存在すると確かに言うことができる。
それでは、何かを疑うとき、どのようにして疑っているかというと、自己の内になんらかの“真理”が規準としてあり、それに照らし合わせて疑っている。
この自己の内にある“真理”は永遠不変であり、永遠不変の真理は、事物が太陽の光に照らされて認識されるように、神の光に照らされてはじめて認識される。
つまり、人間は、神の光の照明によって永遠不変の真理を認識し、その真理と照らし合わせることによって事物が何であるかを判断するのである。
こうしたアウグスティヌスの考え方を「照明説」と呼ぶ。

このようにしてアウグスティヌスは、神と魂が関連していることを確信し、自己が神への信仰の基盤として確実に存在するということを見出したのである。

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