なぜ哲学は誕生したのか?

世界には、数多くの神話が残っている。
私たちの日本にはもちろんのこと、エジプト、インド、中国、アラビア、北欧、インカ……など、ほぼ全世界になんらかの神話が残っている。
そして、哲学が始まったギリシアにも、ギリシア神話という有名な神話が残っている。

神話は、物語の形式で、世界のなりたちを説き、なぜ世界が今の姿をしているのか、自然現象や出来事はなぜ起きるのか、人間が存在する意味や理由は何かについて示す。
神話が信じられていた時代において、自分はどのような存在か、どのように生きればいいのか、どう振る舞えばいいのかといった疑問に対する“答え”は、神話によって与えられた。
しかし、神話は、国や地域によって異なるため、その神話を信じている人びとのあいだでは通用しても、他の神話が信じられている文化や地域では通用しなかった。
そのため、いろいろな地域から人びとが集まってくる場所では、特定の神話が信じられていたとは考えにくく、神話が絶対的なものから相対的なものになっていく傾向があったと推測できる。

紀元前6世紀、エーゲ海に面したアナトリア半島の南西部に位置し、古代ギリシア人の植民都市がいくつもあったイオニア(現在のトルコ南西部)は、まさにそうした状況にあった。
当時のイオニア地方は、地中海貿易の拠点で、さまざまな国から多くの人びとが訪れていた。
また、バビロニアの天文学やエジプトの幾何学などの高度な学問が流入していた。
つまり、イオニアは、経済的に繁栄し、文化の水準が高かった状況のなかで人びとの世界観や価値観が相対化され、しだいに神話に代わる世界説明が求められていった地であったと言える。

こうした地・イオニアで、“最初の哲学”は産声(うぶごえ)を上げたのである。

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